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> [!info] コンテクスト・マネジメント~個を活かし、経営の質を高める~
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419ページある
このコンテクストという概念はわかりにくいかと思います。日本語では「文脈」と一般に訳されますが、「組織環境」と読み替えた方が理解しやすいかもしれません。 『西遊記』に孫悟空とお釈迦様の有名なエピソードがありますよね。石から生まれた悟空が天界で大暴れしていると、お釈迦様が現れて「私の手のひらから飛び出すことができれば、天界の主にしてやろう」と言う。悟空が觔斗雲に乗ってブーンと飛んでいくと、行く手に5本の柱が立っている。「ここが世界の果てだ」と思った悟空は柱に名前を書いて戻ってきますが、柱だと思っていたのはお釈迦様の指だった。つまり、孫悟空はお釈迦様の手のひらの上を飛んでいたわけです。 この「お釈迦様の手のひら」がまさに企業コンテクストに当たります。
コンテクスト・マネジメントを理解するためには、少し理論っぽく言うと、組織の意思決定における「情報の非対称性(information asymmetry)」に目を向けなければいけません。 従業員が数十人しかいないような小さな組織の場合には、トップと現場が持っている情報量にさほど差がないですよね。つまり、情報の非対称性が存在していない。その場合、トップは、事業計画の中身も含めて全部自分で決めることができます。 しかし、ベンチャーとしてスタートした組織であっても、成長していく中で社員数が100人、200人と増えていくにしたがって、創業者がすべての意思決定にかかわるのは不可能になり、やがてはコンテクストをマネージする方向へと経営をシフトせざるをえなくなります。なぜなら、事業の拡大にともなって組織内の複雑性と多様性が増していけば、市場や顧客の動向や技術の進展についてのあらゆる情報を、トップが保有し続けるのは不可能になるからです。そうすると、情報をより多く保有しているミドルや現場の役割が重要となるのです。
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